6.労使関係はどうあるべきか

 労働組合は、労使は対等であるとの前提で存在します。つまり、使用者と労働者との関係は、本来対等ではなく、圧倒的な使用者の権限のもとで、労働組合の存在によって、やっと対等な関係が結ばれる、ということです。

 労働者と使用者との関係は、基本的には「対抗的」関係であり、それゆえに、労働者には団結権が、労働組合には交渉権、罷業(スト)権が法律によって認められています。使用者が、労働者の権利を踏みにじったり、組合の力を弱めようと故意に攻撃を仕掛けてくるときには、組合は断固とした闘いをくまなければなりません。

 しかし、対立だけを強調しているわけではありません。特に中小企業(精神医療の職場のほとんどは、中小企業です)では、労使がタイアップしなければならない場面にしばしばぶつかります。使用者が、組合にパートナーとしての役割を求めてくる時には、組合は、それが組合弱体化の「アメ」であるかどうかを見極めたうえで、柔軟な対応を迫られる場面も出てきます。

 日本の労働組合のほとんどは企業内組合です。企業内組合では、労働者の権利を使用者に譲り渡してしまうような傾向があります。権利を主張できないような労使協調は、組合のとるべき態度ではありません。企業内組合を克服するためには、横断的な、地域・全国に連なった組織の必要性が、強調されます。

 全国精労協は、まさにこの横断的な全国組織に当たります。

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